水野准教授が 第6回 フォトニックネットワーク研究会 で招待講演を行いました。
オンライン開催された2020年度 第6回 フォトニックネットワーク(PN)研究会 にて、水野准教授が下記の招待講演を行いました。
水野洋輔、野田康平、李ひよん、中村健太郎, “ブリルアン散乱に基づく分布型光ファイバセンサの高性能化”, 電子情報通信学会2020年度第6回フォトニックネットワーク研究会(PN)講演論文集, pp. 30-37, オンライン開催, 2021年3月1日-2日 <招待講演>.
光ファイバに沿った任意の位置で歪や温度を測定できるセンサを「分布型光ファイバセンサ」と呼ぶ。ビルの内壁やトンネル、ダム、橋梁、飛行機の翼や風車の羽根など、種々の構造物に埋め込むことで、それらの地震による損傷や経年劣化などを監視することができると期待されており、世界中で精力的に研究がなされている。歪・温度計測の原理としては、光ファイバ中のブリルアン散乱に伴う周波数シフトが歪や温度に依存する性質を利用することが多い。歪や温度の位置情報は、光パルスを入射して反射光が届く時間差から位置を分解する時間領域法が一般的である。一方、我々はこれまでに、連続光の相関を制御することで位置分解を行う相関領域法「ブリルアン光相関領域反射計」(BOCDR)を提案した。この手法は、片端光入射での動作、高空間分解能、ランダムアクセス性、低廉性などの利点を併せ持つ。提案当初、BOCDRのサンプリングレートは20 Hz未満であり、リアルタイムでの分布測定は困難であった。この問題を解決すべく、我々は散乱スペクトルの形状解析に基づく高速システム「位相検波BOCDR」と「傾斜利用BOCDR」をそれぞれ提案し、100 kHzという世界最高のサンプリングレートを達成した。本稿では、これらの高速BOCDRの概要のほか、これらの欠点(歪ダイナミックレンジの制限)を克服した最新の成果についても紹介する。